6月11日の「アナキスト長期囚との国際連帯デー」に際し、ギリシャでアナキズム運動が直面している弾圧と、それに対する人々の抵抗の在り方について、その一端を紹介したい。そのため本稿では2つのグループ――「投獄された逃亡者と迫害された闘士のための連帯集会」と「コウカキ占拠コミュニティ」――のメンバーへのインタビューを掲載する。
新自由主義によるギリシャの貧困化は深刻な打撃をもたらしている。ナチスと協力した輩の子孫が、この国で再び権力を握っているのだ。
奴等は、この不安定な土地で私達の多くが送っている生活の実態を分かっていない。奴等は、米国で広がるファシスト言説を真似て、「生活の質を重視した警察活動」や「法と秩序」という同じ教義を押し進める一方、私達を犠牲にして汚職や贅沢を謳歌している。
これは世界中で生じている。どこであっても、司法による容赦ない弾圧が不可欠な役割を担っている。
だからこそ、私達の信念を貫くために、連帯を深め、互いの闘いから学び、革命的コミュニティと絆を守り抜くことが極めて重要である。たとえ常に私達を笑顔にしてくれなくとも、こうした営みそのものが私達の掴み取れる勝利なのだ。
連帯とは、単なる自己防衛の手段ではない。支配・搾取・容赦ない死の論理に規定された社会に安住せず、解放を求める全世界の人々を繋ぐ一本の糸である。
連帯こそ我等の武器!
我等にあるのは我等のみ!
アナキスト
投獄された逃亡者と迫害された闘士のための連帯集会
あなた方が関わっているプロジェクトをご紹介下さい。
私達は「投獄された逃亡者と迫害された闘士のための連帯集会」のメンバーです。私達のグループは、自主組織化の原則に基づき、ヒエラルキーなしに機能するという意味でアナキストの集会です。また、開かれた集会であり、過去7年間、毎週公の場で会合を開いてきました。
私達の目的は、国家の手にある同志達に政治的支援を提供すると共に、虚偽の起訴や看守による虐待に対抗するため、一般的な政治的連帯のために、裁判所や刑務所で行われる様々な闘争の意義を高めることです。
私達は、刑務所にいる人々の要求を広く知らしめ、それらが社会の他の領域で行われている闘争と本質的に結びついていることを示すよう努めています。また、国家がアナキズム運動に対して用いる抑圧的な仕組みを阻止しようと試みています。そのために、政治的なテキストやチラシ、ポスターを配布するだけでなく、直接行動やデモを企画しています。
2024年、キリアコス゠キシミティリスはアテネで起きた悲劇的な事故により亡くなりました。この事故を切っ掛けに、他の関係者も逮捕され、現在は裁判に掛けられています。この裁判は、地元メディアや世界中の多くの人々から「アンペロキピ事件」として知られるようになり、被告の一部は最近無罪判決を受けて釈放された一方、他の被告は有罪判決を受け、長期の懲役刑を言い渡されました。この事件がどのようなもので、キリアコスに何が起こって死に至ったのか、その後の逮捕・起訴・最近の判決について、詳しく解説して頂けますか?
「連帯集会」は「アンペロキピ事件」に関わった主要な支援組織の1つで、キリアコスは亡くなるまでこの集会のメンバーでした。現在服役中のマリアンナ゠マヌーラとディミトラ゠ザラフェタもメンバーです。
従って、私達にとって、キリアコス゠キシミティリスの記憶を後世に伝え、起訴された全ての同志へ連帯を示し、闘争、武装闘争、そして一部の同志達が下し、今尚続けている選択に対して、包括的な政治的連帯の防壁を築くことが極めて重要でした。
キリアコスは、大切な同志であり友人でした。彼は運動の様々な分野で活躍していました。政治犯達への革命的な連帯を積極的に示し、反帝国主義やパレスチナ支援のデモに参加したほか、エクサルキアでのジェントリフィケーション反対運動や、反ファシズム運動全般においても精力的に活動していました。
また彼は、武装革命闘争への参加を選択しました。結果的に、アンペロキピ(アテネの地区)のアパートで原因不明の爆発が起き、彼の悲劇的な死に繋がりました。この爆発により、運動の仲間であり人生のパートナーでもあったマリアンナ゠マヌーラが重傷を負い、これを受けて対テロ部隊は実在しないテロ組織を捏造し、マリアンナ゠マヌーラ、彼等の友人であり同志のディミトラ゠ザラフェタ、そして他の3人の同志達ニコス゠ロマノス、ディミトリス、A.K.を逮捕しました。
キリアコスの死、そしてそれに続くマリアンナ゠マヌーラの入院と収監は、ギリシャ国内外のアナキズム運動にとって由々しき出来事でした。長年にわたり深刻な分裂状態にあったアテネのアナキズム運動は、亡き同志キリアコスを悼み、マリアンナ゠マヌーラ、ディミトラ゠ザラフェタ、およびこの事件で逮捕された他の3人を支援するため、久々に結集したのです。
この運動は、武装革命闘争の政治的擁護という困難な課題と、危機的なまでに激化する国家弾圧の両方に対処しようとしました。この一連の出来事において何が正しかったか、何が間違っていたかについては議論の余地があるものの、裁判所前で毎日行われていた大規模な連帯集会が示したように、キリアコスの死やアンペロキピ事件全般は、依然として私達全員に深く関わる問題であり続けています。
当初から、マリアンナ゠マヌーラは、キリアコスが革命運動のために使用される爆発物の加工場所を見つけるのを手伝った責任を認めていました。彼女は、テロ組織など存在せず、他の4人の被拘束者も本件とは何の関係もないことを明らかにしました。ディミトラ゠ザラフェタは、彼女に対する国家の告発は虚偽であり、彼女はアナキストとして、またキリアコスやマリアンナ゠マヌーラの同志として、更にキリアコスの選択や行動をイデオロギー的に支持する者として、政治的迫害を受けていると主張しました。ディミトリス、ニコス゠ロマノス、A.K.は皆、自身は無実であり、本件との無関係だと主張しました。
国家側が証拠として提示した実際の情報は、虚偽か、あるいは国家自身の基準から見ても全く不充分なものでした。テロ組織の存在を裏付ける証拠は一切ありませんでした。国家側は、ディミトラ゠ザラフェタとディミトリスに関して、友人やパートナー間で普通に行われるアパートの鍵や携帯電話の受け渡しが複数回あったとし、またニコスとA.K.については、銃の入ったビニール袋に付着していた多数の指紋の中に一部一致する痕跡があったと主張しました。
それにもかかわらず、被告全員は17カ月間勾留され、最終的にマリアンナ゠マヌーラとディミトラ゠ザラフェタに有罪判決が下され、マリアンナ゠マヌーラには19年、ディミトラ゠ザラフェタには8年の懲役刑が言い渡されたのです。特にマリアンナ゠マヌーラに対するこの重い刑罰は、主にテロ対策法の適用によるものでした。ディミトリス、ニコス゠ロマノス、A.K.は無罪とされ、釈放されました。
控訴は行われるのでしょうか? 刑期は満了まで服役することになるのでしょうか?
マリアンナ゠マヌーラとディミトラ゠ザラフェタは最近、ティバの女子刑務所に移送されました。これは、彼女達が勾留中に収容されていたコリダロス刑務所が、公判待ち勾留者専用の施設だからです。この事態は予想されていたものの、彼女達が運動や家族、友人達から更に遠く離れてしまったという点で、残念な展開です。
既に控訴は行われていますが、控訴審が開かれるのは、早くても1~2年後になると見込まれています。控訴審の行方次第で、同志達が実際にどれだけの期間、刑務所で服役することになるかについて、より正確な見通しを立てられるようになるでしょう。一般的に、実刑判決の3/5から4/5を服役するのが通例ですが、実際の刑期や実際に服役しなければならない割合に影響を与える可能性のある法的要因は数多くあります。
こうした計算を難しくしている主な要因は、2019年のシリザ政権末期以降、刑法や矯正法が絶えず改正され、各法律が個々の事案にどのような影響を与えるかを判断するのが困難になっている点にあります。
何故ギリシャのメディアは、この裁判の他の被告達とは異なる形でニコス゠ロマノスについて報道をしたのでしょうか?
この件について、国家側に明確な意図や計画があったかどうかは分かりません。ニコス゠ロマノス同志は、アナキズム運動だけでなく、ギリシャ左翼の大部分にとっても重要な人物です。2008年に警察官に殺害され、近年のギリシャ史上最大の蜂起を引き起こしたアレクシス゠グリゴロプロスとの親交や、2014年のハンガーストライキにより、彼はより広範な「進歩的」運動における指標的存在となりました。これにより、良くも悪くも、国家が考慮せざるを得ない社会的圧力が生じています。
彼の情況を他と異なるものにしているもう一つの側面は、私達の見解では、マリアンナ゠マヌーラやディミトラ゠ザラフェタが法廷で示した立場とは対照的に、彼が無実を主張したという点にあります。これにより、国家が違法と見なすいかなる政治的選択や立場を擁護する能力をとうの昔に失っていた左派の一部が、彼を支持することになったのです。これに加え、彼に対する証拠が不充分であったことも相まって、左寄りのメディアの一部は、彼の事件に対して少しばかり「客観的」に、あるいは配慮を持って報じざるを得なくなりました。
アンペロキピ事件の被告達との連帯行動
この事件は、ギリシャ政府による弾圧方法という点で、より大きな意味を持つのでしょうか?
ここ数年の弾圧の激化を踏まえると、ギリシャ政府がこの事件に対処した方法に特に目新しい点はなかったと考えます。爆発が発生し、その現場に2人のアナキストがいたという理由だけで、ギリシャ政府は「テロ組織」が存在するという結論に至りました。これは完全なでっち上げです。いわゆる「テロ組織」の他のメンバーをでっち上げるため、彼等は故人の親しい同志や、運動内で知られた人物達を告発したのです。
これはギリシャの対テロ部隊が一般的に用いる手法であり、裁判所もこれに倣ってほぼ定型的なパターンを踏襲しています。第一審では通常、より厳しい判決が下され、少なくとも被告人の一部がテロリズムの罪で有罪とされ、(少なくともギリシャの基準からすれば)長期刑が科されます。一方、第二審では刑期が調整されるか、無罪判決が下されます。もちろん例外もあります。
この事件において特に重要な点の1つは、とりわけマリアンナに対して裁判所が言い渡した極めて重い刑罰です。これは、マリアンナ゠マヌーラとディミトラ゠ザラフェタ両名の全ての容疑について裁判所が有罪判決を下したことの直接的な結果でした。そこには「テロ組織への武器および爆発物の供給」に関する罪も含まれます。
この告発については、検察官でさえ、この「組織」なるもののメンバーだと論理的に立証できないと主張していました。この点が、控訴審において同志達の刑期を短縮する上で、極めて重要な法的・政治的な争点となるでしょう。
187a法はどのようなものですか?5年間にわたる裁判の末、最近取り下げられた「同志」事件のように、ギリシャ政府が虚偽の物語をでっち上げ、グループを作り出しているのを目にしてきました。この法律は、証拠なしに国家が更に弾圧できるようにしているのでしょうか?
第一に、この法律の本質は政治的です。これは、国家が武装闘争運動を可能な限り弾圧するために使う法律です。陪審員を置かない特別裁判所・厳罰化・第187a法に基づき益々拡大する起訴可能な犯罪リストを使い、国家は「内なる敵」を弾圧し、沈黙させようとしているのです。
この目的を念頭に、テロ対策法は意図的に曖昧に定められ、対テロ部隊と裁判所の双方に、個々の事件に応じて法を当て嵌め、必要に応じて証拠を捏造する充分な裁量を与えています。
この法律は、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロの直接的な副産物でした。酷い話ですが、この法律が最初に使われたのは、革命組織「N17(11月17日)」のメンバーとして告発された1人の被告に対してでした。それ以来、ギリシャ政府は、ドイツの129b法同様、欧州のテロ対策法の基準に沿って、この法律を継続的に改正・拡充しています。
当初は武装革命闘争の参加者を対象とした法律として制定されたものの、ここ数年で、多種多様な行為へと適用範囲が拡大しています。
こうした訴訟の多くは、延期されたり、でっち上げられたりしていますが、それは運動の資源や時間を消耗させるため、あるいは有罪判決を伴わずにトラウマや公判前勾留を懲罰の手段として利用するためなのでしょうか?
第一に、ギリシャでは、記憶にある限り以前から、裁判の延期は常態化しています。多くの場合、被告側が延期を選択し、事件発生からかなり時間が経過した後に裁判を行うことで、国家が裁判を報復手段として使うことを難しくしているのです。
また、検察側が裁判を望まないために、公判が延期されることもあります。一般的に、裁判所は事件を過剰に抱え込んでおり、与党の新民主主義党(ND)が裁判所に事件の早期解決を迫る措置を講じている――もちろん、国が「適正手続き」と呼ぶものや被告人の「権利」を犠牲にして――とは言え、裁判官がそれを常に実行できるとは限りません。
しかし、国家が被告人の生活を困難にするために、他にも様々な手段を用いていることは疑いようのない事実であり、その中でも特に顕著なのが、公判前拘禁・公判前の制限条件・保釈金です。また、NDが政権に復帰して以来、これらの措置がより厳格化され、より頻繁に用いられるようになっていることも事実です。
でっち上げ事案に関しては、この戦略は当局が注目する人物を標的にするために用いられてきました。アンペロキピ裁判へのニコス゠ロマノスの関わりがその好例です。この関わりが、運動の資源を消耗させるというより大きな計画の一部だったかどうかは断言できません。国家や警察がどれ程組織化されているか、またアナキズム運動に対する長期的作戦にどれ程の関心を持っているかについては、確かに意見の相違があります。しかし繰り返しになりますが、確実なのは、NDが新たな弾圧法を可決させたことで、政治的活動に対しても軽微な犯罪に対しても法的処罰が日増しに厳しくなっているということです。この法律は欧州の基準に更に沿うもので、NDを政権に導いた「どんな犯罪も許さない」というスローガンとも合致しています。
政府の建物に塗料を投げつけるために犯罪組織を形成したとして告発された同志達がいる一方で、デモで逮捕されたために月に何度も警察署に出頭しなければならない人々もいます。それと同時に、ギリシャ社会全体では、軽微な窃盗や少額の借金といった理由で収監される人が増え、刑務所の囚人数は限界状態に達しています。
イラクリオンでのキリアコス゠キシミティリス追悼行動。
アテネ中心部にある大規模な複合占拠空間「プロスフィギカ」(拙訳)を守るため、2人の同志がハンガーストライキを行っています。このハンガーストライキについて説明して頂けますか? 通常、ハンガーストライキは最後の手段と見なされてきました。今回のハンガーストライキは、危機的な時代と弾圧の激化を示す兆候なのでしょうか?
私達の集会はこの問題を論じるのに適切であるとは言えません。プロスフィギカ゠コミュニティの立ち退きを阻止する公開集会が既にあるからです。私達としては、占拠運動をアナキズム運動および反権威主義運動の不可欠な一部と捉えています。だからこそ、この10年間、国家はこの運動を破壊することへの執着を益々強めてきたのです。
プロスフィギカのスクウォット複合空間における取り壊しと開発に抵抗するためにハンガーストライキを行っているアリストスとソウゾンの2人は、誰よりもこのことをよく理解しています。だからこそ、彼等は自らの命を賭け、体を張っているのです。そうすることで、彼等が自らの言葉や信念に嘘偽りなく生きていること、そしてコミュニティが彼等にとってどれ程大切であるかが、あらゆる観点から示されるのです。私達は集会として、プロスフィギカ防衛闘争を支持し、同志達と連帯しています。
ここ数年、監視や弾圧は拡大しているのでしょうか? 国家は優先順位を見直したのでしょうか? これには新型コロナウイルスのロックダウンが影響しているのでしょうか、それとも単に時代を反映しているだけなのでしょうか?
先程言った通り、この10年間で弾圧は急速に強化され、欧州の水準に歩調を合わせるようになってきています。監視カメラ・ドローン・警官が至る所におり、公共交通機関・裁判所・大学・入管などに新たな警察部署が次々と設置されています。軽微な犯罪や政治的活動に対しても厳しい処罰が下され、新たな法案が可決される度に、テロ対策法の適用範囲は拡大しています。言うまでもなく、近い将来、AIの狂騒が更なる抑圧的な能力をもたらす可能性もあります。
新型コロナウイルスは、私達の運動を二分した大きな問題の1つです。この問題全体を巡る様々な解釈についてここでは詳しく触れられませんが、明らかにロックダウンは、少なく見積もっても、国家が公共空間を完全に統制し、社会全体を大規模な弾圧に慣れさせる絶好の機会でした。国民の安全が最優先事項とされる中、あらゆる問題の解決策として、常に何らかの形で警察が現れるようになりました。
コロナ禍に浮上し、極右かつ強硬な新自由主義路線を掲げるND政権が後押ししたこの言説は、ギリシャ社会が国家に対して抱く歴史的に根深い不信感を克服しようとするものです。同時に、経済的・法的なスキャンダルの発生頻度も極度に高まっています。国家は、国民と混沌との間に唯一立ちはだかるものとして自らを位置付け、異議を唱える者や「社会への脅威となる」者を悪魔化しています。私達が突入した新たな戦争の時代において、こうした主張が益々用いられ、軍事装備の近代化、そしてパレスチナ・レバノン・イランでNATOとイスラエルが行う大量殺戮や爆撃に対するギリシャ国家の直接関与が正当化されているのです。
軽微な容疑で家宅捜索が行われる事例がニュースで頻繁に報じられているようです。ギリシャではこうした事例が増えているのでしょうか?これをどのように捉えるべきでしょうか?
家宅捜索は、常に国家の手にある手段で、それには相応の理由があります。プライバシーを侵害された人々に圧力や恐怖を与えること、そして自宅内で情況証拠や情報を収集できることは、いずれも警察にとって明らかに有益です。また、家宅捜索は運動に対しても経済的な圧力を及ぼします。殆どの家宅捜索で警察は私達の電子機器を盗むからです。繰り返しになりますが、特に対テロ部隊が計画したものではない場合には、こうした家宅捜索がどれ程綿密に計画され、周到に練られたものなのか、議論の余地があります。
とはいえ、最近の幾つかの動向について触れておきましょう。こうした動きが常態化してしまえば、この運動に間違いなく深刻な影響を及ぼすと思われます。現在、7人の同志が「政府財産を破壊する犯罪組織を結成した」容疑を掛けられています。かなり前にアテネのキプセリ地区にある政府庁舎へ塗料を投げ付けたことが理由です。通常、容疑者となった場合、警察はアテネ警察本部に呼び出して供述調書を取り、応じなければ起訴すると脅します。大抵はこけ脅しなのですが、今回は警察が同志達の自宅に――場合によっては強制的に――立ち入ることを決めました。
別の事件では、3人の同志がハンマーや塗料を使って裁判所を襲撃したとして告発されています。ここでも、現場で収集された証拠は、警察の基準からすればそれだけで公判に持ち込むには充分すぎる程だったにもかかわらず、警察は彼等の自宅の強制捜査に踏み切りました。
ギリシャ政府が、軍備拡張や徴兵法の厳格化を進めるなど、弾圧へこれ程多くの資源を投入している背景には、何があると思いますか?これは欧州連合全体に見られる傾向なのでしょうか?
この質問によって、あなたは、これらが世界中の現代社会が抱える問題であることを指摘していますね。戦争は至る所にあり、第二次世界大戦以来、「欧州人」である私達にとってかつてない程身近なものとなっており、この情況は今後も続くようです。その計画が示す通り、欧州全土で再軍備が進められています。
ギリシャでは、東部国境やエーゲ海でギリシャとトルコの間に緊張が作り出されているため、この問題は常態化しています。そのため、ギリシャはNATOへの財政的貢献度が最も高い国の1つです。(ギリシャはNATO加盟国の中でも防衛費支出が最も多い国の1つで、GDPの約3.1%を防衛費に充てており、これは同盟内でも最高水準にある。)ギリシャ政府、そしてあらゆる国家の目標は、国家を信じ、国と支配層のために戦う覚悟のある社会を築くことです。恐らく、これがギリシャの運動の多くに向けられた弾圧の理由でもあるのでしょう。
ギリシャが依然として経済危機にあることは明らかです(政府はそうではないふりをしていますが)。そのため、巨額の資金が軍や警察に費やされ、権力者が余り重視しない他の社会的ニーズには充てられていません。例えば、病院や大学では人手不足が深刻で、基本的設備も不足し、多くの場合閉鎖に追い込まれています。また、公共交通機関のインフラは老朽化が進み、それによる「事故」が益々増加しています。最近起きた最悪の事例としては、テンピでの列車脱線事故が挙げられます。
住宅費も、生活必需品や商品の価格も深刻な問題です。ギリシャでの生活は厳しいものですが、私達が団結して立ち向かわない限り、この情況は続くでしょう。
1970年代の軍事政権崩壊後に始まった大学不可侵政策を新民主主義党が廃止してから7年が経ちました。これはギリシャのアナキズム運動や、より広範な急進派コミュニティにどのような影響を与えたのでしょうか?
繰り返しになりますが、これは政治的な見解が分かれる問題です。一方で、デモでの衝突後に警察が大学構内に入り、人狩りをしたり、学生や政治団体による大学占拠を解散させたりすることが、以前より容易になったのは事実です。しかし、これはより一般的な問題で、不可侵政策の終了によって問題が悪化したに過ぎないという見方もあります。
2019年に新民主主義党の右翼政権が樹立されて以来、国家はこの運動とその象徴に対する攻撃を続けてきました。これは、アナキズム運動の枠を遥かに超えています。残存する左翼勢力では、1974年の軍事政権崩壊後に勝ち取った政治的・象徴的な地盤を守ることは全くできないと明らかになりました。客観的に見れば、アナキスト達は常に大学構内から火炎瓶を投げており、そのような事態になれば、不可侵政策が施行されていたとしても、警察は大学に立ち入る法的権利を常に有していました。
大学への警察の立ち入りを阻んだ主な要因は、ある法律(明らかに、政府職員に対する火炎瓶の投擲を対象にするはずがないことは明らかです)について一般に誤解が広まっていたことではなく、むしろ警察との衝突に対する強力かつ広範な政治的・イデオロギー的支持があったことだと論じることができるでしょう。その支持は、単に大学不可侵という概念によって表され、象徴されていたに過ぎません。新民主主義党政権は、この支持に疑問を投げ掛けることに成功したのです。
どのように分析しようとも、この問題はアナキズム運動や学生運動に大きな問題を引き起こしました。学生達から強力な政治的手段――大学占拠――を奪っただけでなく、警察は、既に設置されていた監視カメラ・バリケード・民間警備員などを活用して、大学構内での弾圧措置を容易に実施できるようになったのです。現在、大学専用の警察部隊の設置に関する議論が進められているものの、その最初の試みは失敗しました。
これは、集会や各種の政治的イベント(迫害されている同志や様々な政治的運動の資金集めイベントなど)の開催場所として大学を利用しているアナキズム運動にも影響を及ぼしています。
昨年、トランプ政権は、欧州連合内に拠点を置くとされる複数の革命組織をテロ監視リストに追加し、反ファシストやアナキストを「イスラム国」のような原理主義組織と同列に扱いました。こうした組織とされるものの内2つは、ギリシャを拠点としているとされています。この措置はギリシャに何か影響を与えたのでしょうか?
こうした動きはこれまで、ここギリシャに目立った影響を与えていません。もちろん、米国は常にギリシャ政府に弾圧のモデルを提供してきましたが、今のところ、こうした同列視をしているのは極右の過激派グループだけです。
他に触れておきたい事例はありますか?
スクウォットの防衛・投獄された同志への連帯行動・デモやエクサルヒアでの警察との衝突などに関して、多くの同志に影響する事例が複数あります。ここでは、関係する同志達に深刻な影響を与えている、あるいは与える可能性のあるものを、ほぼ任意に幾つか取り上げます。
最新の大きな事件は、2026年5月11日に8人が逮捕されたもので、逮捕された人達は様々な強盗事件の容疑を掛けられています。この事件は現在も捜査中のため、起訴内容は――恐らく被告人のリストも――確定していません。8人の同志の内6人はギリシャ国内の様々な刑務所で公判前勾留されており、2人は制限付きで釈放されました。
また、ヤニス゠カラツォリスとソフォクリス゠トゥツィアラキスという同志達の事例もあります。国家は、彼等を他の5人と共に強盗目的で犯罪組織を結成したとして起訴しました。犯罪組織結成の容疑は法廷で立証されず、他の被告達は無罪となったにもかかわらず、ヤニス゠カラツォリスとソフォクリス゠トゥツィアラキスには、それぞれ21年と23年という極めて重い刑が言い渡されました。現在の目標は、10月に控える控訴審において、こうした報復的判決を軽減するよう控訴裁判所に働き掛けることです。
最後は、国家による移民の大量殺害に抗議した最初の大規模デモでの逮捕事件です。このデモは、ギリシャ沿岸警備隊がピュロスという町の近くで、500人以上の移民を乗せた船を沈没させたことに対するものでした。裁判は5月に行われる予定でしたが、2027年春まで延期されました。
ギリシャ国外の人々は、どのように国際的な連帯を示すことができるでしょうか?
あらゆる行動・介入・文章・ポスター・投稿が、こちらの人々に連帯感を感じさせるでしょう。あらゆる場所で政治闘争が続けられていることは、誰にとっても励みになります。そしてもちろん、ギリシャという国はそれ程大きくはありませんが、多くの国に経済的・政治的な利害を持つ関連標的が存在しています。これはこの運動において国際的な連帯を示す伝統的な方法です。
資金面での支援としては、メインの基金はタメイオ(Tameio)で、政治犯に毎月経済的支援を行っています。長年にわたり、この基金はギリシャのアナキズム運動において最も重要な構造の1つとなっています。更に、特定の事例に特化した多くの基金もあり、通常は逮捕された同志の訴訟費用を賄うことを目的としています。これらの基金については、アテネ゠インディメディアなどのウェブサイトで確認することができます。
Firefundで現在進行中のキャンペーンは、アナキスト同志G゠ミカイリディスの直近のハンガーストライキ中に行われた連帯行動を巡る控訴審を対象としています。
最後になりますが、ギリシャで起きている出来事の最新情報を得るための対抗情報の選択肢は、残念ながら余り良いものではありません。アナキズム運動が自らの立場や活動を公表するために利用している主なウェブサイトはアテネ゠インディメディアですが、これはギリシャ語で書かれており、公式にはギリシャ語以外の翻訳は提供されていません。ただし、翻訳機能付きのブラウザを使えば閲覧できます。最新情報を得る最善の方法は、恐らく、この運動に参加している集会や個々の同志と直接連絡を取ることでしょう。
付録:コウカキ占拠コミュニティの被告達
私達は更に、「コウカキ占拠コミュニティ」の被告の一人に、その情況について話を聞いた。
アンペロキピ事件の結審とほぼ同時期に、「コウカキ占拠コミュニティ」のメンバーも裁判に掛けられていましたが、その裁判は延期されました。この事件の詳細と、より広いアナキズム運動にとっての意義について、ご説明頂けますか?
私達のプロジェクトは、アテネのコウカキ地区において革命的なコミュニティとして機能した3つのアナキスト゠スクウォットで成り立っていました。これらの奪還された空間は、数多くの集会・より広範なアナキズム運動に向けた様々な組織化の取り組み・地域における相互扶助プロジェクトの推進に貢献しました。また、私達のコミュニティは、スクウォット集会のメンバーや同志達だけでなく、ホームレスの人・難民・苦境にある移民・コミュニティから拒絶されたトランスジェンダーの人・資本主義社会から「排除された」と見なされる人にも住居を提供しました。
これらの住居は、一種の意図的コミュニティとして機能しました。家賃を払うために働く必要がなくなったため、私達は抵抗活動や組織化に全力を注ぐことができたのです。これにより、財産を拒絶すると共に、解放された空間を通じて「無料の住居」を確保することが解放闘争を更に前進させる力になると考える様々な革命的人物が集まりました。
残念ながら、2018年、政治犯マリオス゠セイシディスへの連帯を示す横断幕を掲げていた最中に、1人の同志が命を落としました。彼の死は、コウカキのスクウォットに関わった多くの人々に共通していた献身的な姿勢の帰結でした。しかし、私達全員が依然として裁判や、国家による果てしない官僚主義・日和見主義に直面している今、素晴らしい同志であり情熱的な同志だった亡きディミトリスについて触れ、彼の闘いが今日の私達の献身と行動の中に生き続けていることを改めて伝えたいと思います。
ギリシャ政府は、一斉に行われた襲撃により、スクウォットから住民を暴力的に立ち退かせた。3つの空間の内、「パナイトリオウ」は2度、「マトロゾウ」は3度、再占拠されました。
私を含む3人の同志は、パナイトリオウ゠スクウォットの防衛で有罪判決を受けましたが、恐らく懲役刑にはならないでしょう。私達は引き続き法廷への出廷義務を負っており、自分の運命がどうなるかわからないという絶え間ないストレスが心身に重くのしかかっています。一方で、マトロゾウ゠スクウォットの最終防衛戦ではより激しい抵抗が行われたため、複数の同志が依然として裁判に掛けられており、軽微な罪状で起訴されているものの、もし国家の思惑通りになれば、その刑期が積み重なって数年の懲役刑となる可能性もあります。
国家が全てのスクウォットを破壊しようとしていた時期に、私達は革命的なコミュニティを防衛しつつ、その行動を通じてより広範なアナキズム運動を鼓舞しようとしてきました。弾圧の激化はこの活動の帰結です。国家は、占拠されたスペースに対する戦闘的防衛を萎縮させるため、私達を見せしめにしようとしています。彼等は私達の意志を挫けさせようとしています。新民主主義党が2019年に政権の座に就く前は、激しい抵抗を行うことで投獄されていました。2019年以降、スクウォットへの弾圧キャンペーンが強化され、より軽微な抵抗でも私達を法廷に引きずり出そうとしています。
マトロゾウを断固として守ったとして裁判に掛けられた5人の同志は、それぞれ2件の軽犯罪で有罪判決を受け、当初は77カ月の懲役刑を言い渡されました。しかし、刑の執行は猶予され、収監されるかどうかは現在進行中の控訴審の結果次第です。検察側は、被告達に刑期を全うするよう求めていますが、2件の軽犯罪でこれ程の刑が科されるのは、ギリシャの法史上前例がありません。実際、通常これら2件の軽犯罪では実刑判決は下されません。しかし、今回の事件がスクウォットの防衛に関連していることを踏まえれば、同志達を「見せしめ」にし、検察側が弾圧しようとしているのは、行動そのものではなく、その背後にある動機や革命的な志向だと示しています。つまり、彼等の目標や思想そのものを犯罪化しようとしているのです。
直近の公判に先立ち、マトロゾウの被告達を支援するデモがギリシャ各地で相次いで行われました。しかし、控訴審の公判は11月9日まで延期され、第2回公判期日も再び延期となりました。
公判の延期は、被告達を疲弊させる手段であるだけでなく、公判に向けて高まっている連帯のうねりを弱めようとする狙いもあります。国家は被告達を孤立させ、連帯や世間の注目が薄れるのを待ち、その後、可能な限り厳しい処罰を下そうとしています。彼等は、運動が沈静化し、弾圧がニュースの見出しから消え、人々が他の弾圧への対応に追われるような瞬間を待っているのです。
裁判に向けて機運が高まっているものの、この種の連帯の組織化には多大な努力が必要です。国家は、被告達や彼等を支援する運動を、防衛的な反弾圧アプローチを常に取らざるを得ない情況に追い込み、それによって攻撃的な革命運動に取り組む余地を奪い、私達の資源を枯渇させ、エネルギーを消耗させようとしているのです。
この2件の軽犯罪は、警察官に塗料が投げ付けられ制服が汚損されたこと、そして警察官に身体的危害を加えたとされることに関係しています。しかし、警察側は2025年12月に行われた第1回公判にすら出席せず、その結果、公判は延期されました。マトロゾウ事件の被告は全員、8人の警察官から同じ容疑で告発されています。
この事件は、新民主主義党政権にとって政治的に重要な意味を持っています。当初の検察官は新民主主義党の党員であり、プレヴリス法律事務所に所属しています。また、新民主主義党の有望な政治家として国会議員選挙に出馬して落選した経歴もあります。第一審終了後、彼女は官僚的な理由により控訴審での職務を継続できませんでした。にもかかわらず、彼女は依然として証人として出廷する警察官に付き添い、何を話すべきか指示し続けています――無償で、かつ正式な法的立場を持たないままに。また、彼女は、クィア活動家のザッキー゠オーの殺害を防ぐ措置を全く講じなかったとして職務怠慢の罪に問われた警官達の弁護もしました。更に、全国放送の朝の主流派トーク番組に出演し、被告達は裁判所から直接刑務所へ送られたと述べました。実際には控訴によって収監は阻止されていました。繰り返しますが、この裁判の目的は見せしめです。
しかし、被告達の心と革命的誠実さは今も揺らいでいません。私達は数年前に住まいを失いましたが、弾圧を乗り越えながら築いた革命的な関係性と献身的な相互支援の中に、私達のコミュニティは今も生き続けています。
刑務所の独房に火を放て。

